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小笠原旅行記27 PAPAYAツアーに参加 【東京都・島旅・ファミリー】
夜が明けた。
雲が空を覆っているが、心配していた風はぴたりと止んでいる。
どうやら今日は海に出れそうだ。
今日は小笠原に終日滞在できる最後の日。
この日はイルカ・クジラツアーを行っている「PAPAYA」という会社のクルージングツアーに参加する。
僕が小笠原で一番行きたい場所「南島」
イルカとのドルフィンスイム。
クジラのホーエールウォッチング。
そして、小笠原で父島以外に人が住む唯一の島である南島への上陸。
とにかく至れり尽くせりの内容に惹かれて、小笠原に出発する前から申し込んでいた。
宿の前の大通りで待っていると、PAPAYAのバンがビックアップしてくれる。
途中、二見港の「ホライズン・ドリーム」に寄ってくれるので、そこで昼食のパンや弁当を買い出す。
これは母島に上陸したときに食べるという。
買い出しの後はPAPAYAのオフィスで乗船手続き。
終了すれば再びバンで「二見漁港」へと移動する。
これが乗船するクルーザーの「MissPAPAYA」
大きくて立派な船だ。
すでに乗船が開始されている。
が、ここで乗船する人の装備に目をひかれる。
船首には防寒し、さらにレジ袋を巻きつけるなどして防水の工夫をされた一眼レンズを構える人々。
そして船の後部デッキには、まるでダイビングをするかの様にウエットスーツに身を纏い、10mは潜っても大丈夫な防水仕様をしたカメラを構える。
僕たちの装備はレインウェアーの下に水着とラッシュガード。
そして3m防水のカメラ。
一眼レフは「パシフィックアウトドア」の「防水バックパックF-トレイルズーム」に収納している。
防水対策はしているが、使用中の水に対しての防護策は取っていない。
僕たちのメインは「南島」なので、上陸に備えてウェットスーツは着ていない。
シュノーケルの準備はしているが、荷物になるとフィン(足ひれ)は持ってきていない。
イルカが運よく近くにいたら、ちょっと泳いでその姿を見れたら・・・という程度の考えでしかない。
みんな気合いはいってんな~。
そう思って乗船した他の人の姿や装備を見ていた。
が、それは僕の思い違いだ。
気合い入っているのではない。「イルカ」と「クジラ」にすべてをかけているといっても過言ではないくらいの意気込みだった。
まるで、僕たちは場違いな船に乗りこんでしまった事に後で気づく。
僕たちは「南島」にすべてをかけていたのだから・・・
乗船前に、海の水で靴の裏を入念に洗い落す。
これは南島や母島にウズムシという外来種の害虫を持ち込まないため。
塩水につかるとウズムシは弱るそうだ。
また、外来種の植物の種を運ばないためにも重要。
特に環境保護が厳しい南島に上陸するために念入りに洗う。
全員の乗船が完了したら、船はゆっくりと父島を出発した。
まずはブリージング。
・・・って、参加者むちゃくちゃ多い。
後部デッキには人がおさまらないくらい集まってきた。
お正月とはいえ、人乗過ぎではないか?
しかし、ブリーフィングが終われば、参加者は船の思い思いの場所へ散り、後部デッキは閑散となった。
さて、そのブリーフィングの最中、まずは南島に上陸するグループとイルカを探すグループに分かれると説明を受けた。
参加者は約20名だが、上陸する人は僕たちを含めて8人のみ。
南島上陸希望者は少数派だ。
なぜみんな南島のような美しい場所に行かない?
南島命の僕はそう思ったのだが、他の人はイルカ・クジラ命。
もしくは、小笠原の常連が多いので、このような天気の悪い日に南島に行っても面白くないと思ったからだろう。
とにかくもうすぐ、小笠原で一番行きたかった場所、念願の「南島」に上陸である。
船は南島に近づいてきた。
平べったいむき出しの岩肌が露出する荒々しい様相の島だ。
南島は「沈水カルスト地形」と呼ばれる珍しい地形。
カルストといえば雨水の侵食で洞窟ができやすい地形。秋吉台の秋芳洞などが有名だ。
その地形が海の上に突き出している。雨水だけでなく、海にも侵食を受けるのがこの地形だ。
そのため、島の海岸の岩肌には無数の穴や海食洞が口をあけている。
とても不思議な風景だ。
島の反対側を見ると、岩肌の下に真っ白なビーチが見える。
あれが父島でも最も美しいビーチのひとつ、「ジニービーチ」だ。
昨日のシーカヤックツアーで小浜海岸から目指そうとしていた場所だ。
海況が良いと、あのジニービーチからさらに南島へとカヤックで渡り、「扇池」へと上陸できる。
岩のアーチをくぐり、真っ白な砂浜にカヤックで上陸する。
これが南島で一番したかったことなのだが、昨日は海が大荒れのため、それは叶わなかった。
本日は「保険」という意味も兼ねて、動力船での南島上陸というプランを確保しておいた訳だ。
この周辺は沈水カルスト地形らしく、無数の岩礁や小さな島があり、大海原からの波をさえぎってくれる。
とはいえ、まだこの日の波も高い。
この海域でもうねりは大きく、船がエンジンを停めると、何かにつかまっていないと転がってしまうくらいに船体が揺れる。
船は南島の南側に廻り込んできた。
北風の影響が少なくなり、船の揺れが少なくなる。
船もスピードを落としたので、水しぶきもデッキまで飛び散らなくなった。
上陸前に南島の姿を撮っておきたい。防水バックから一眼レフを取り出す。
船から見る「鮫池」
人力船の上陸ポイントが「扇池」とすれば、動力船はここ「鮫池」から上陸する。
池という名だが、島の内側に入り組んだ小さな湾で、この中は波がとても穏やかだ。
鮫池の中の海の色は島の外側の海と違った色をしている。
ゆっくりと船は鮫池の前へと廻り込み停船した。
ここから南島への乗船準備にとりかかる。
その間、急ぎながら周りの風景を撮影。
写真は南島と、その奥に見えるのはジニービーチ。
天気が悪いので海の色が映らないのが残念。
肉眼で見ると、海はその中に吸い込まれるくらいに青い。
この青さは、本土の沿岸ではまず見られない。別世界に通じているかの様な海の色には、少し恐怖すら感じる。
さて、ここで南島上陸隊は船を降りる。
並走するもう一艘の船「パパヤJr.」へ乗り換える。
この「パパヤJr.」はダイビングなどに使われる小型船。
クルーザーに先行してソナーでクジラを探したり、イルカと泳いだ人の回収などが役目だそうだ。
海の上で横付けした小さな船に飛び移る。
防水バックに入れているとはいえ、一眼レフを持っていると、その移動は冷や汗ものだ。
それに青すぎる海の色は海の底に引き込まれそうで、さらに緊張する。
無事に船を乗り移ったら、しばし母船「Miss PAPAYA」とはお別れ。
母船はゆっくりと離れて再び外洋へとイルカを探しに走りだす。
残された僚船「パパヤJr.」はゆっくりと直進し、鮫池の中へと侵入していく。
海の色が紺碧から瑠璃へと変わる。
そして、憧れだった南島が近づいてくる。
ついに、上陸だ。
個人での上陸は許されておらず、いくつもの厳しい制約とルールがある島。
恐らく一般人が行ける日本の中で一番自由がない島。
自由を奪ってでも存続させようとするくらいの貴重な環境が残る、日本でも最も美しい島に、ついに今上陸する。
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