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二の鎖~頂上・残雪石鎚山登山4 【愛媛・登山・ソロ】
「夜明峠」を越え、雪の稜線を登る。登る。
やっと二の鎖小屋に到着だ。
ここは土小屋からのルートとの合流点。とはいえ、アプローチ方法がない土小屋からの登山者は皆無。
道は深い雪に覆われていて、誰も歩いた跡がない。
この先からは石鎚山の核心部、そそり立つ岩壁部を行く険しい道が始まる。
時間も12時も回り腹も減ってきたので、ここでひと休憩と思っていたのだが・・・
あまりにも深い雪のため、小屋の1階に入ることができなかった。
まさかここまで深いとは・・・
休憩をあきらめ、一気にこの険しい道を登り切ることにした。
雪は2階建ての小屋の屋根の上まで覆っていた。
二の鎖小屋のすぐ後ろにある鳥居。
なんという雪の深さ。半分以上がまだ雪に埋もれている。
この後ろには岩場を登っていく鎖場がある。
一人果敢にザイルで体を確保しながら、この鎖場を登っていく人がいた。
夏場ならともかく、雪と氷に閉ざされた岩場を登る装備も技術もない。
僕はここから岩壁を迂回して登るルートを行く。
迂回ルートとはいえ、岩壁沿いを登るルートだ。
断崖絶壁に、頑丈な鉄階段を何本も設置して道を作っている。
夏場は大勢の登山者を通す頼もしい鉄階段だが、冬場はその機能は雪の中に閉ざされてしまう。
かろうじて掘り出された階段の半分、いや1/4をゆっくりと登っていく。
アイゼンの爪を引っ掛けてバランスを崩さないように。ここで1歩間違えれば、崖下に転落だ。
崖の上から押し出さんばかりに降り積もった雪にはかなり恐怖を感じる。
深く積もり、かつ腐り始めた雪の中の急登はしんどい。体力がみるみる奪われる。
ストックではバランスを取りにくい場所が次々に出てくる。
何度も足元を取られ、雪の中に倒れこみそうになる。
改めてこういう場所では、ピッケルやつま先にも爪がある本格的なアイゼンの装備が欲しいと感じる。
足もとの雪は容易に崩れ、深い谷底に流れ落ちていく。
それでなくても、時々上の方から崩れた雪がこの谷を滑ったり、転がり落ちていく。
もうすぐこのあたりの雪は激しく崩れ、もしかすると雪崩が発生するかもしれない。
雪の表層にひびが入っているところもある。ここで立ち止まってはいけない。
身の危険を感じる。とにかくつらい登りだが、一気に木立の中まで駆け上った。
やっと三の鎖の下までたどり着いた。
もう、この上が石鎚山の頂上。もうすぐだ。
荒々しい表情が、ここまでくればとても頼もしくも見える。
三の鎖小屋。
春の陽気を感じるこの日でも、屋根からは巨大なツララがぶら下がっている。
冬本番がどんなに厳しかったのかが、その姿から感じられる。
そう思っていると、突然轟音が鳴り響いた。
三の鎖小屋のトイレの屋根の雪が一気に僕の後ろで崩れ落ちた。
びっくりした。トイレを使おうとして軒下にいたらどうなっていたのか・・・
続いて、頂上の方からも轟音が。頂上小屋の屋根からも雪が落ちたようだ。
崖の上からは、パラパラと雪の塊が降り落ちてくる。
春が訪れて、雪がどんどん崩れているのだ。
身の危険を感じた。これは早く登頂して、とっとと帰らないと。
何かのタイムリミットがすぐ足もとまで迫ってきているような気がしてならなかった。
振り返ると日本三百名山・標高1896mの「瓶ヶ森」。
「瓶ヶ森林道」が走る稜線につながれて右奥へと進むと日本三百名山・標高1756mの「伊予富士」につながる。
瓶ヶ森の左後ろにある真っ白な頂は、日本二百名山・標高1859mの「笹ヶ峰」。
石鎚山系の名峰がここからつながっている。
雪に覆われた鉄階段を登り切ると、いきなり向こう側がずっぱりと足もとから切れ落ちた場所に出た。
ついに頂上稜線に到着だ。
しかし、ひええ、怖い。
ただでさえ細い稜線が雪に覆われているので、崖の下へ放り投げられるような感覚に襲われる。
ついに石鎚山頂上に到着。疲れた~。
夏はここ一面、登山者や信者に覆われているのに、さすがに冬は数名の装備した登山者の姿しかいない。
まずはザックを下ろし、一息。そして、石鎚神社に無事の到着のお礼と下りの安全祈願。
それからサーモスのお茶でカップラーメンとコーヒーをいれ、食事にする。
時刻は13時過ぎ。予定よりも到着が遅くなった。
あまりゆっくりしている時間はないが、厳しく危険な道を乗り越えてたどり着いた雪の石鎚山山頂。
どうしてもゆっくりしたくなる。
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