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2008年3月28日 (金)

記事タイトル

二の鎖~頂上・残雪石鎚山登山4 【愛媛・登山・ソロ】

雪に埋もれた二の鎖小屋
「夜明峠」を越え、雪の稜線を登る。登る。
やっと二の鎖小屋に到着だ。
ここは土小屋からのルートとの合流点。とはいえ、アプローチ方法がない土小屋からの登山者は皆無。
道は深い雪に覆われていて、誰も歩いた跡がない。

この先からは石鎚山の核心部、そそり立つ岩壁部を行く険しい道が始まる。
時間も12時も回り腹も減ってきたので、ここでひと休憩と思っていたのだが・・・
あまりにも深い雪のため、小屋の1階に入ることができなかった。
まさかここまで深いとは・・・
休憩をあきらめ、一気にこの険しい道を登り切ることにした。
雪は2階建ての小屋の屋根の上まで覆っていた。
雪に埋もれた二の鎖鳥居
二の鎖小屋のすぐ後ろにある鳥居。
なんという雪の深さ。半分以上がまだ雪に埋もれている。
この後ろには岩場を登っていく鎖場がある。
一人果敢にザイルで体を確保しながら、この鎖場を登っていく人がいた。
夏場ならともかく、雪と氷に閉ざされた岩場を登る装備も技術もない。
僕はここから岩壁を迂回して登るルートを行く。
雪に埋もれた鉄階段
迂回ルートとはいえ、岩壁沿いを登るルートだ。
断崖絶壁に、頑丈な鉄階段を何本も設置して道を作っている。
夏場は大勢の登山者を通す頼もしい鉄階段だが、冬場はその機能は雪の中に閉ざされてしまう。
かろうじて掘り出された階段の半分、いや1/4をゆっくりと登っていく。
アイゼンの爪を引っ掛けてバランスを崩さないように。ここで1歩間違えれば、崖下に転落だ。
崖の上から押し出さんばかりに降り積もった雪にはかなり恐怖を感じる。
雪に覆われた険しい谷
深く積もり、かつ腐り始めた雪の中の急登はしんどい。体力がみるみる奪われる。
ストックではバランスを取りにくい場所が次々に出てくる。
何度も足元を取られ、雪の中に倒れこみそうになる。
改めてこういう場所では、ピッケルやつま先にも爪がある本格的なアイゼンの装備が欲しいと感じる。
足もとの雪は容易に崩れ、深い谷底に流れ落ちていく。
それでなくても、時々上の方から崩れた雪がこの谷を滑ったり、転がり落ちていく。
もうすぐこのあたりの雪は激しく崩れ、もしかすると雪崩が発生するかもしれない。
雪の表層にひびが入っているところもある。ここで立ち止まってはいけない。
身の危険を感じる。とにかくつらい登りだが、一気に木立の中まで駆け上った。
もうすぐ頂上!
やっと三の鎖の下までたどり着いた。
もう、この上が石鎚山の頂上。もうすぐだ。
荒々しい表情が、ここまでくればとても頼もしくも見える。
凍てつく三の鎖小屋
三の鎖小屋。
春の陽気を感じるこの日でも、屋根からは巨大なツララがぶら下がっている。
冬本番がどんなに厳しかったのかが、その姿から感じられる。
そう思っていると、突然轟音が鳴り響いた。
三の鎖小屋のトイレの屋根の雪が一気に僕の後ろで崩れ落ちた。
びっくりした。トイレを使おうとして軒下にいたらどうなっていたのか・・・
続いて、頂上の方からも轟音が。頂上小屋の屋根からも雪が落ちたようだ。
崖の上からは、パラパラと雪の塊が降り落ちてくる。
春が訪れて、雪がどんどん崩れているのだ。
身の危険を感じた。これは早く登頂して、とっとと帰らないと。
何かのタイムリミットがすぐ足もとまで迫ってきているような気がしてならなかった。
石鎚山系
振り返ると日本三百名山・標高1896mの「瓶ヶ森」
「瓶ヶ森林道」が走る稜線につながれて右奥へと進むと日本三百名山・標高1756mの「伊予富士」につながる。
瓶ヶ森の左後ろにある真っ白な頂は、日本二百名山・標高1859mの「笹ヶ峰」
石鎚山系の名峰がここからつながっている。
石鎚主稜線
雪に覆われた鉄階段を登り切ると、いきなり向こう側がずっぱりと足もとから切れ落ちた場所に出た。
ついに頂上稜線に到着だ。
しかし、ひええ、怖い。
ただでさえ細い稜線が雪に覆われているので、崖の下へ放り投げられるような感覚に襲われる。
冬の石鎚山頂上の様子
ついに石鎚山頂上に到着。疲れた~。
夏はここ一面、登山者や信者に覆われているのに、さすがに冬は数名の装備した登山者の姿しかいない。
まずはザックを下ろし、一息。そして、石鎚神社に無事の到着のお礼と下りの安全祈願。
それからサーモスのお茶でカップラーメンとコーヒーをいれ、食事にする。
時刻は13時過ぎ。予定よりも到着が遅くなった。
あまりゆっくりしている時間はないが、厳しく危険な道を乗り越えてたどり着いた雪の石鎚山山頂。
どうしてもゆっくりしたくなる。
石鎚山登山地図

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【今回の残雪石鎚登山記録】

2008年3月27日 (木)

記事タイトル

夜明峠・残雪石鎚山登山3・ 【愛媛・登山・ソロ】

瓶ヶ森が近づいてくる
「前社森」を出発してややすると、あとは二の鎖小屋まで尾根道をひたすらに登っていく。
尾根沿いの雪は深く、白い。
先ほどまで見上げていた雪の向こうに見える瓶ヶ森の頭も、もうかなり同じくらいの高さまでになっている。
夜明峠と石鎚山
小さなピークを巻くと、その向こうに広がる尾根と石鎚山頂が目の前に飛び込んできた。
ここが「夜明峠」
夏場は気持よい風渡る笹原の稜線は、この冬は銀世界。一面の雪が美しく覆っている。
融け始めたとはいえ、汚されていない雪が美しい姿のままで残っている。
振り返る夜明峠
夜明峠へと駆け下った坂を振り返る。
春の陽気を色濃く感じる青空がとても気持ちいい。
とはいえ、この峠を吹き抜ける風は冷たく、まだ冬が息づいていた。
石鎚山の岩壁
稜線を登るにつれ、石鎚山北面の岩壁が目前に迫ってくる。
圧倒する迫力。人を容易に寄せ付けない、頂上付近はまさに神域。
頂上へは、この雪に閉ざされた岩肌を越えなければたどり着けない。
瓶ヶ森
瓶ヶ森の標高は1896m。もうこのあたりまでくると、ほとんどそれと同じ標高だ。
ここからは登れば登るほど、あの白い瓶ヶ森を見下ろすことになる。
見ていた風景が変わっていく。
石鎚山の神社と小屋
夜明峠から石鎚山頂上を見上げる。
一番上にあるのが頂上の石鎚神社。
その下が三の鎖小屋。そして、一番下に二の鎖小屋が建っている。
この3つの建物は、鎖場でつながれていて、夏場には信者が修行さながらにこの鎖を登って神社へと直登する。
まだ雪深い頂上への道。鳥居が半分ほど埋もれているのを見ても、頂上への巻き道もとても厳しそうなのがわかる。

当初の僕の目的地は、一番下の二の鎖小屋。
僕の装備と経験では、ここから上の世界に立ち入れるかどうかはまさに「疑問符」だった。
しかし、もう頂上は目の前だ。こんなに近くにあるのに、立ち寄らないことを選択するのは相当勇気がいる。
幸い、道は凍結していない。何とか今の装備でも進めると判断し、僕は頂上を、神の鎮座する社を目指すことにした。
神へ詣でる道
さあ、目指すは神の領域へ・・・
登頂を心決めた瞬間、この道は神のもとへと続く、聖なる道となった。

石鎚山の地図

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【今回の残雪石鎚登山記録】

2008年3月25日 (火)

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頂上駅~前社森・石鎚山残雪登山2 【愛媛・登山・ソロ】

ロープウェイから成就へ向かう道
石鎚登山ロープウェイの頂上駅付近は全く雪がなかったが、成就へ向けて歩き出すとすぐに雪の道になる。
成就までは林道を約25分歩く。さほど大した雪でもないのでアイゼンも何もつけず先に進む。
近くのスキー場からはヒットナンバーが何度もやまびこして、不思議な輪唱になって聞こえてくる。
成就入口
道を覆う雪は途切れることなく、「成就」に到着した。
成就の鳥居をくぐるときには、スキー場からの音楽は聞こえなくなり、ここが下界から隔離された神域であるとはっきり感じた。
ここ成就は標高1450m。石鎚神社の中宮・成就社があり、旅館街が軒を連ねる。
主に石鎚山信仰の信者や登山客が宿泊するが、こんな車道も通じていないところにこれだけの宿があるのはとても不思議だ。
冬のこの時期はここにも多くの雪が降り積もっているが、宿、食堂、土産屋は一部営業していた。
石鎚神社・中宮成就社
石鎚神社の中宮成就社。
ここで、登山の安全祈願を行う。
今日は初めての雪の石鎚山。しかも単独行だ。
一緒に行く予定だった上司は会社の仕事で出張中。仕方ないので部下の私ひとりで登ることにした。
いつも以上に念入りに安全祈願をしたら、アイゼンを装着して出発する。
中宮成就社の神門
ここが登山道入口となる「神門」
とても気が引き締まる。
ちなみに開門朝5時、閉門夕方5時とある。
夕方5時に帰ってこれないと、門が閉められて、石鎚山から帰れなくなってしまう。
・・・嘘です。
門の脇を通って境内の中には入れるんですが、やっぱり登山の安全を考えたら、このタイムリミットは厳守だ。
ちなみにロープウェイの最終便は夕方5時なので、閉門にぎりぎり間に合っても下界には降りられない。
そうなると、ここの旅館でお泊りが決定する。

さて、ここから「八丁坂」を下っていく。
登るのではない。下るのだ。
標高100mほど下るのだが、なんだかとても損したような気がする。
この下り坂は南向きの斜面になるので、雪が融けるのが早い。
ジュクジュクの融けかけの雪、水たまりなど、最悪のコンディション。急ぎ足で通り過ぎたくなる。
しかし、どこからともなく、ウグイスの声に足をたびたび止められる。もう春である。
八丁から見上げる石鎚山
八丁坂を下りきったらここからは石鎚山に向かって登って行く。
木立の隙間から、雪をまとった石鎚山の神々しい姿が見える。
稜線の一番右が頂上で、はっきりと頂上小屋も見えている。
頂上から稜線を左に行き、一番右のピークが天狗岳。
ここが石鎚山最高峰である。
残念ながら天狗岳までの切り立った岩の稜線は、僕の装備と技術では無理だ。
頂上すら無理だったら引き返す条件付きの本日の山行。本日の当面の目標は二の鎖小屋である。
前社の森付近の登り
八丁から前社森まではひたすら樹林帯の中を登りつづける。
とにかく暑い。雪が残っているのが不思議なくらいの暖かさだ。
ジャケットを脱ぎ、フリースだけになる。
雪はどんどん深くなる一方、水分が多くなり、アイゼンが効きにくくなる。
いわゆる「腐った雪」の状態。
あまりにも姿勢維持に労力を使うため、ここでストック2本をザックから外して装着する。
これで幾分か、登りが楽になったが、腐った雪の登りがこんなにしんどいとは思わなかった。
雪がしっかりと体重を受け止めず、ずぶずぶとめり込む。
斜面ではどんどん表層ごと崩れ、何度も滑りそうになる。
前社森休憩所に到着
やっとの思いで前社森の休憩所に到着。
あ~、しんどかった。時間はほぼ「山と高原地図」のコースタイム通り。
いかん。コースタイム通りに登っていたら頂上に行けたとしてもはほとんど余裕がない。時間はおしている。
ロープウェイの始発に乗れなかったこと。無駄に写真を撮ったり、成就で土産屋をのぞいていたこと。
そして何より日頃の不摂生を猛烈に反省しながら、この中で少し休憩させてもらう。
前社の森付近からの瓶ヶ森の眺め
小屋の前からは瓶ヶ森(1896m・日本300名山)の姿を真正面に臨める。
今までの登りの途中でも時折その姿は見えていたが、木立に邪魔されない展望は美しい。
石鎚山麓から望む瓶ヶ森の氷見二千石原
瓶ヶ森の頂上部分をアップで。
頂上直下には「氷見二千石原」という壮大な笹野原が広がっていて、高山の雰囲気が漂う。
向こうの雪原となった笹野原も、とても美しい光景が広がっていそうだ。
前社森休憩所の窓から望む瓶ヶ森
休憩所のベンチに座ると、窓の向こうには瓶ヶ森の姿が。
まるで1枚の美しい絵画が飾っているようだった。
水分補給をして一服したら出発だ。時間がないので長居はできない。
あの柔らかい雪の中に足を踏み出すのはおっくうだが、再び上を目指して登り始めた。
石鎚登山地図

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【今回の残雪石鎚登山記録】

2008年3月22日 (土)

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石鎚山に登ってきました 【愛媛・登山・ソロ】


本日(2008年3月22日)、西日本最高峰の石鎚山(1982m)に登ってきました。
今年は雪が多く、この時期も頂上周辺の積雪はすごかったです。

当初はニの鎖小屋まで行ければと思っていましたが、凍結がなかったので何とか頂上までたどり着けました。
とはいえ、ここのところの暖かさで、所々の雪は腐った状態。
アイゼンが効かない雪がたっぷりあり、ひやっとすることが何度も。
小屋の屋根からは大量の雪が轟音と共に崩れおち、横断する谷には雪の塊が時々ゴロゴロと転がってきて。
春の訪れは雪山にとっては危険な時期でもあるのだなぁとひしひしと感じました。

登山の詳細は後日アップします。
とりあえず、本日現在の石鎚山の状態のご報告です。


ロープウェイから成就・・・駅周辺に雪はないが、林道には雪が積もっていました
成就から八丁・・・雪がほとんど融けていてジュクジュグ状態
八丁から二の鎖小屋・・・雪は大分残っていて地面は露出していません 
               雪は腐り始めていて、アイゼンが効きにくいです。
               時々ズボリと太ももまで埋まります。
二の鎖小屋から頂上・・・二の鎖小屋の鳥居半分ほど、まだ雪に埋まっています
               凍結はありませんでした
               ピッケル、最低でもストック2本は必要でした
               鉄階段は谷側の半分のみ雪が融けています
               谷筋では、崩れた雪が上からよく転がってきました

2008年2月20日 (水)

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霧氷の石墨山4・下山 【愛媛・登山・グループ】

吹きすさぶ寒風から逃げるように、稜線の来た道を引き返す。
登りとは違い、雪に自分たちがつけた足跡があるので道を探す必要はない。
それに下りは雪がクッションかつ、足場になるのでとても楽だ。
無雪期には木の枝を持ちながらゆっくり下りないといけない急斜面でも、走り下りることができる。
雪煙を巻き上げながら、坂を走り下りる楽しみは、冬の山ならではの楽しみのひとつだ。
石墨山
あっという間に岩場まで戻ってきた。
振り返ると、先ほどまでいた標高1456mの石墨山の頂上が、もうあんなに遠くになっている。
石鎚山
岩場の向こうに見える西日本最高峰の石鎚山
何度見ても、その雄大な風景は飽きない。
しかし、今から霧氷の森に入るので、しばらくはその姿ともお別れ。
霧氷
霧氷の森の中も面白いように下っていく。
稜線に吹きつける北風は、森の中では幾分マシになった。
あっという間に稜線の終着。
霧氷の森を抜けると、空の様子は一変していた。
・・・晴れてきた!
エビのシッポもどき
雪が作り出した芸術品が無造作に雪に突き刺さっていた。
凍てつく風が作り出した氷の芸術。この氷がもっと成長すると「エビノシッポ」になる。
雪に落とす影も何だかいい味を出している。
パウダースノー
太陽に照らされ始めたパウダースノー。
そのきめの細かさがよく分かる。
しかし日が出てもまだ、稜線を吹き抜ける風は身を刺すように冷たい。
見下ろす里山
霧氷の向こうに見下ろす里山。
雪が田に所々残るまだ寒い山あいの集落だが、この雪に閉ざされた稜線から見るととても温かく見える。
石鎚山と霧氷
青空を背にした石鎚山。霧氷も日の光を浴びて、その白さを際立たせる。
頂上からこの青空を見たかったなぁ。
しかし、山の天気だけはどうにもならない。
稜線を下る直前に石鎚山が青空の風景を見せてくれただけでもありがたい。
黒を背にした霧氷
雪のない下界の暗い濃紺の森を背にした霧氷が美しく太陽に輝く。
青空を背にした霧氷も美しいが、黒を背にした霧氷の姿もとても際立つ。

ここからはロープを掴んで登って来た急な坂を下って下山する。
しかし雪に覆われた急坂は登りとは違ってとても楽。
気ままに踏み出した1歩を装備したアイゼンはがっちりと雪をとらえてくれる。
ストックを装備していれば滑るように駆け下りていけるが、もうストックを準備するのも面倒くさい。
それでもあっという間に急坂を下り切り、東温高校の小屋まで降りてきた。

ここまで下ると凍てつくような風は吹かない。
雪に覆われた世界だが、厳しい寒さはない。
ここで温かいコーヒーを入れ、遅めのランチ。

駐車場まで戻ると、林道の雪はすっかり融けていた。
車を下界まで走らせた後は、人気の温泉でゆっくりと冷え切った体を温める。
露天風呂メインのこの温泉、内湯は熱めなのだが、今日だけはずっと内湯の中に体を沈めていた。
地図

石墨山の地図

2008年2月19日 (火)

記事タイトル

霧氷の石墨山3・頂上 【愛媛・登山・グループ】

無事に新雪の石墨山山頂に到着。
頂上からは東側180度の展望しかないが、それでも石鎚山・瀬戸内海・太平洋方面の主要な眺めはすべて網羅している。
ここは最高の展望の山でもある。
石墨山頂上から望む石鎚山
石墨山頂上から見た西日本最高峰の石鎚山
霧氷の向こうに見る真っ白な山は、温暖な愛媛県の風景とは思えない。
標高1982mの石鎚山の左側には山が続いていない。
かすんでいて見ないが、石鎚山から下っていく山の稜線はすぐに瀬戸内海に没するのだ。
穏やかそうな瀬戸内海だが、石鎚山付近だけは、一気に海から2000m近くまで山が立ち上がっている。
雪に埋もれた石墨山頂上看板
さて、僕は石墨山に冬に登るのは初めてだ。
ここが頂上であるのは地理的にも、見える風景からも間違いないと確信していた。
しかし、あるはずの頂上の看板がない。
この大雪で新雪の中に埋もれているに違いない。
万が一、後でここが頂上でなかったなんてことになると、上司を連れて行きいるので大変だ。
新雪で道が見えないところを雪をかき分けて進んできたのだから十分にあり得る。

必死に記憶を頼りに、山頂の看板をあるだろう場所を掘り起こしてみる。
あった。意外に簡単に見つかった。
よかった。ここが頂上に間違いない。
頂上に立った確信を得れたら、頂上からの展望を楽しむ。
大雪の石鎚山
まずは西日本最高峰の霊峰、石鎚。
写真中央が最高峰の天狗岳。そのすぐ左の岩の塊が頂上の弥山だ。
こんなに雪深く険しい石鎚の表情はなかなか見れない。
雪の石鎚山系
左の真っ白なところが石鎚山。
石鎚山から右方向に標高が1700~1900mの名山が連なる稜線が続く。
四国でも指折りの登山者に人気のエリアだ。
写真右下の方に見える湖は面河ダム。
その真上方向、石鎚山からの稜線が真っ白になっているところが、今日行くつもりだった伊予富士や寒風山がある山域。
あんな真っ白になっているとは・・・
6本爪アイゼンにストック程度ではやはりこの石墨山にルート変更して正解だったと思う。
石墨山頂上より望む四国カルスト方面
南側を見ると、日本三大カルストのひとつである、四国カルストの山々(左奥の山)
秋吉台、平尾台と比べ、四国カルストは標高1500m近いの山の上に広がる雲上のカルスト地形。
小さいながらもスキー場のある四国カルストの天狗高原は、雪で真っ白になっていた。

さて、本当なら頂上で熱いコーヒーでも入れてランチを楽しみたいところだ。
が、温度計は氷点下4℃を指している。
冬山なら特に寒い気温ではないが、温暖な愛媛としてはかなり寒い。
しかも瀬戸内海の上空を冷たい北風が容赦なく渡って来て稜線に吹きつけている。
体感温度はもっと低い。

カメラを操る僕の手が、かじかむのを通り越した感覚になってきた。
感覚になるというより、感覚がなくなってきている。
やばい、このままだと凍傷だ。
一眼レフもあまりもの寒さのため、大容量のバッテリーなのにもう電池切れ寸前だ。

ここでの昼食は諦め、パンを素早く食べたらすぐに出発することにした。
北風がひどい稜線を下りてから、一息つくことにした。
足早に、来た道を下っていく。

石墨山登山の地図

石墨山の地図

2008年2月 9日 (土)

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霧氷の石墨山2・稜線を行く 【愛媛・登山・グループ】

石墨山の稜線まで急登をリ越えたら、今度は稜線の快適な道だ。
まだ登りは続くが、今までの這い上るような道ではない。
稜線を行く道は、霧氷の森へと続いていく。
霧氷の森
稜線歩きで目を楽しませてくれるのが霧氷。
先日の大雪と寒波でとても立派な霧氷ができている。
まるで白い葉や白い花をつけたような、真っ白な雪化粧をした木々がとても美しい。
下界の濃紺色の森を背にした霧氷の森は、とっても美しく幻想的だった。
稜線より望む四国カルスト方面
霧氷の森を行くと、突然目の前が開け、一面の笹野原が広がるところがある。
ここからは、四国カルスト周辺の、雪化粧した山が見渡せる。
一面を雪に覆われていた霧氷の森も良かったが、こういった開放感抜群の展望も良い。
霧氷の森から見下ろす里山
霧氷の向こうに、麓の里山を望む。まるでその風景は雪国に来たみたい。
四国に来たときは、自分の家から車で1時間足らずの場所の登山で、こんな風景が見れるなんて思いもしなかった。
山深い愛媛県がもつ、温暖な海辺の風景とは違う、もう一つの顔だ。
石墨山の風景
ここは僕が石墨山の一番お気に入りの眺め。
すそ野へと広がっていく霧氷の山肌がとても美しい。
秋にはここは、紅葉が駆け下りていくグラデーションが楽しめる。
石鎚山を望みながらの岩場通過
僕が大好きな風景を望めるところは、この石墨山の唯一の難所でもある。
向こうに石鎚山を望みながら、切り立った崖の上の緊張の通過をここでしなければならない。
夏場でも慎重さを要求される場所に、たっぷりと雪が降り積もっている。
が、凍結していなかったこと、雪が岩の隙間に降り積もっていたこと、アイゼンを装着していたこと。
それらが幸いして、雪がない時よりも簡単に岩場を越えることができた。

雪の登山道は夏場に比べて歩きにくいと思われるが、アイゼンを装着すると状況は一転する。
雪が山肌の凹凸を隠してくれて、自分のペースで歩けるようになる。
特に下りは雪がクッションになるので急斜面を走り下りることも可能だ。

先行していたおじさんがここで僕らを待っていた。
この岩場を通過できるかどうか、僕らを試していたのだろうか?
新雪の登山道
岩場を過ぎて、おじさんが待っていた理由が何となく推測できた。
岩場を過ぎた所から、道に踏み跡がなくなっている。
どうやらここから先は、先日大雪が降ってから登山をした人がいないようだ。
否応なしに新雪を踏みながらの登山がここから強いられる。

ふっかふかのバージンスノーを踏みしめながら歩くのは気持ちいい。
が、問題は山積みである。
まず、登山道が雪に埋もれているので道がわからない。
これは、この道を歩いたことがあり、ある程度ルートファインディングができないと、先には進めない。
おそらく先ほどまでの足跡の主は、ここから先の道がわからずに引き返したのだろう。
僕は道を知っているし、道の隠れた雪道は何度か歩いているので、それは問題がなかった。

しかし、本当の問題はこれだ。
ラッセル(もどきではあるが・・・)
すでに雪の深さは相当なもので、木々の幹を見ても相当深く埋もれている。
1歩足を踏み出すと、膝くらいまではずっぽりと雪に埋もれる。
一番先頭を歩く人間は必然的に雪を踏み固めなければならない。
雪に埋もれた足を引き抜くのは、想像以上に重労働だ。
本格的な雪山の腰まで埋もれる深さではないが、それでも先頭を歩くのはとても疲れる。
二番手以降の人は先頭の人が踏み固めた雪の上を歩けるのでまだ楽なので、雪山では先頭を行く人をローテーションで交代する。
が、僕は今日、「会社の上司」と来ている。
しかも上司はスパッツなどの雪を防ぐ装備がなく、この道も初めてだ。
一応、「新雪の感触、楽しみますか?」と尋ねてみたが、あっさりと拒否された。
決定だ。僕が頂上まで、ぜーんぶラッセルしないといけない・・・

新雪の急斜面は特にしんどい。太ももまで雪の中に足が埋もれる。
途中、何度も何度も雪の中に手をついて倒れそうになる。
写真を撮る為に、ストックをザックに取り付けていたので、バランスがとれない。
カメラをザックに入れて、ストックを取り出そうかと思ったが、頂上はもう少し。そのまま歩き続ける。
しかし、こういう雪深い道はやはり、スノーシューがあった方が楽だ。
踏み跡のない頂上
やっと到着。標高1456mの石墨山頂上。
頂上はまだ大雪の後、誰も立っていない。
足跡ひとつない、ふっかふかの新雪に覆われた頂上なんて初めて来た。
僕が一番乗りだ~。
新雪に覆われた頂上に、僕は一番乗りで雪塵を舞い上げながら飛び込んだ。
石墨山の地図

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2008年1月29日 (火)

記事タイトル

霧氷の石墨山1・稜線への登り【愛媛・登山・グループ】

この日は日本三百名山のひとつ、標高1756mの「伊予富士」に会社の上司と登るつもりだった。
しかし、1月22日に石鎚山の山麓東側に、記録的な大雪が降った。
石鎚山の東側に位置する伊予富士にも雪がたっぷりだろうと喜んでいた。
が、寒い日が続き、日が全く照らない曇天も続く。
登山口まで車でアプローチできるだろうか。
登山道はラッセルが必要だったり、雪庇など危険個所はないだろうか。
そんな不安が石鎚山の姿を見た瞬間、大きく膨らむ。
今まで見たことがないくらい、石鎚山が真っ白になっている。
信じられないくらいの雪の量だ。これはうかつには近づけない。
急きょ行先変更。向かったのは標高1456mの「石墨山」
石鎚山の西側にあるので大雪の影響も少なく、見上げるときれいな霧氷も付いている。
これなら何の心配もなく登れそうだ。
石墨山登山口入口
石墨山の登山道入り口。
小さな看板が立っているところから山に入っていく。
道は国道494号線。うっすらと雪が積もっているがアイスバーンなどはない。
4WDならノーマルタイヤのままここまでは軽々登ってこれる。
1~1.5車線の道が続くが、この時期は交通量も少ないので、離合の心配もしなくてよい。

登山口に車を停め、アイゼン装着をする。
久々に、土を1回も踏まずに頂上までの雪道を楽しめそうだ。
駐車場、路肩には車が10台ほど停められる。
割石峠から稜線を目指す道
登山口からはしばらく人工林の中の登り。
その後、開けた場所に出ると、東温高校の山小屋がある。ここが割石峠。
ここから幼木が密生する斜面を登っていく。
雪の量も少しずつ増えてきた。
振り返ると石鎚山
振り返ると、真っ白に雪景色した石鎚山が神々しくそびえている。
とても温暖な愛媛県の風景とは思えない。
まさに信州の2000m級の山の姿だ。
稜線直下の急斜面
割石峠から、石墨山稜線を目指す道には「つづら折り」という言葉はない。
山の斜面を緩やかだろうが、急だろうが一直線に登っていく。
そのためこんな、ロープにつかまらないと登れない急な坂もある。
雪の積もった急坂を登るのは、なかなか疲れる。
稜線から白猪峠を望む
やっと稜線についた。
待っていたのは、素晴らしい雪と霧氷の絶景。
「うおお~、すごい」思わずその美しさと急登を登りきった喜びに声を上げる。
写真左上には、遠く瀬戸内海に浮かぶ島々も見えている。
霧氷の向こうに見る石鎚山
霧氷の向こうに望む石鎚山。
石鎚山の頂付近は深い雪が積もり、すそ野の下の方まで霧氷がびっちりと覆っている。
雲の上に頭を出した、西日本最高峰らしい、素晴らしい山容だ。
これだけ真っ白になった石鎚山は、愛媛に4年以上住んでいるが、滅多に見たことはない。
真っ白な冬の石鎚山
石鎚山をアップで。
写真中央のちょうど中央の尖っている部分が石鎚山頂上。
写真ではわかりにくいが、この尖っている部分は山肌でなく、石鎚頂上小屋だ。
普段ならここからその形ははっきりとわかるが、すっかり雪に埋もれてしまっている。
石鎚は相当な積雪だったと容易にうかがい知れる。
やはり、今日は石鎚山系に行くのはやめて、この石墨山に来て正解だった。
霧氷もきれいだし、軽アイゼンが気持ちいい雪の深さだし、何といっても石鎚の眺めが良い。

ここからはこの美しい石鎚を左に眺めながら、霧氷となったブナ林の中を抜ける雪の稜線を行く。
美しい風景を楽しみに、霧氷の森の中へと入っていく。
しかし、稜線に出てから、一気に気温が落ちてきた。
歩き始めたころには、登りで火照った体は、稜線を渡る冷たい冬の風に一気に冷やされていた。

石墨山登山地図

石墨山の地図

◆紅葉の時期の石墨山